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日記系雑記ブログ: 農業、データサイエンス、自然

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植物生理学

植物細胞の構造と機能: 小胞体・ゴルジ体

植物は、ヒトや酵母などと一緒で、真核生物の一員です。核、小胞体、ゴルジ体、ミトコンドリアなどは真核生物共通の細胞小器官 (オルガネラ、細胞器官) で、植物細胞内でも生命維持に必須の機能を担っています。植物に特徴的なオルガネラとしては、葉緑体、…

植物細胞の構造と機能: ミトコンドリア

ミトコンドリアは、ほとんどすべての真核生物に存在する細胞小器官で、ATP 生産が主要な役割です。 ミトコンドリアの構造 色素体と同様に二重の膜に包まれていて、独自のゲノムを持ち、半自立的に増殖します。 www.xtraetc.xyz 内膜は内部に向かって突出し、…

植物細胞の構造と機能: 色素体 (2)

色素体ゲノムにコードされる遺伝子は色素体における転写・翻訳に関するものと、光合成に関するものとに大別されます。 www.xtraetc.xyz www.xtraetc.xyz 色素体と転写 核から葉緑体への影響 色素体での転写には、核の転写とは異なる複数の RNA ポリメラーゼ…

植物細胞の構造と機能: 色素体 (1)

葉緑体に代表される色素体(プラスチド)。色素体は、二重の膜に包まれていて、独自のゲノムを持っています。 [目次] 色素体のさまざまな形態 プロプラスチド ロイコプラストとアミロプラスト クロモプラスト 葉緑体 = クロロプラスト 色素体のゲノム 色素体の…

植物の形質転換

遺伝子の機能を解析したり、有用な遺伝子組み換え植物を製作するためには、効率のよい形質転換法が必要になります。形質転換の研究が始まった当初は、細胞壁の存在が妨げになっていました。 www.xtraetc.xyz 現在では、酵素によって細胞壁を除去できるように…

植物における細胞内情報伝達機構

多細胞生物は、細胞分化、生長や細胞分裂を個体レベルで統合して制御しなくてはいけません。そのために複雑な情報伝達機構を発達させてきました。まず、哺乳類を中心として明らかにされた真核生物の情報伝達を見てみましょう。 [目次] 動物・酵母の信号伝達…

遺伝子発現制御における翻訳後修飾

翻訳されたタンパク質の機能が共有結合性の修飾により制御されることがあります。 [目次] タンパク質分解による制御 タンパク質の品質管理 リン酸化が最も広く見られる制御ですが、糖付加や脂質 (ファルネシル基やミリストイル基) 付加も重要な役割を果たし…

siRNA と miRNA

植物を形質転換し、外来の遺伝子を発現させる技術を、遺伝子組み換え植物と言います。遺伝子組み換えの際、既に植物が持っている遺伝子を導入した場合、導入した遺伝子と内在性遺伝子の両方の発現が抑制する場合があります。 [目次] siRNA miRNA siRNA 導入…

植物における DNA 転写調節・修飾・遺伝子発現制御

転写については、以下の記事も参考にしてください。 www.xtraetc.xyz www.xtraetc.xyz www.xtraetc.xyz [目次] コファクター、メディエーター ヒストンの修飾 エピジェネティックな制御 転写後の制御 コファクター、メディエーター 直接DNAに結合はしません…

植物におけるシス因子とトランス因子

遺伝子がいつ、どこでどれだけ転写されるかに関する情報は、個々の遺伝子の制御領域に特定の塩基配列として書き込まれています。転写を制御する DNA 上の配列は、シス配列と呼ばれています。また、個々の遺伝子のシス配列と結合して、転写をいつ、どこで開始…

細胞の構造と機能: 核

植物は、ヒトや酵母などと一緒で、真核生物の一員です。核、小胞体、ゴルジ体、ミトコンドリアなどは真核生物共通の細胞小器官 (オルガネラ、細胞器官) で、植物細胞内でも生命維持に必須の機能を担っています。植物に特徴的なオルガネラとしては、葉緑体、…

転写制御と RNA ポリメラーゼ

遺伝情報の発現は様々なレベルで制御されています。転写開始、スプライシングを含む転写後修飾、mRNA の安定性、翻訳、タンパク質の修飾やソーティング、タンパク質の分解の過程などです。 [目次] 転写制御 転写装置 (RNA ポリメラーゼ) 基本転写因子 PolⅡの…

植物と、ゲノムの構造

植物で最初に全ゲノム構造が決定されたのは、双子葉植物のシロイヌナズナです。シロイヌナズナにはタンパク質をコードする遺伝子が約 27,000 存在します。単一コピー遺伝子の割合は 35 %で、ゲノムサイズの小さいショウジョウバエの 72.5 %と比べてかなり低…

核酸の構造と機能

核酸は、プリン塩基またはピリミジン塩基、ペントース(糖)、リン酸からなるヌクレオチドがリン酸ジエステル結合で重合した長い直鎖状の分子で、遺伝子情報を担います。 リン酸の結合している位置は、ペントースの 5' 位と 3 '位が交互になっていて、ポリヌク…

遺伝暗号の解読

DNA を構成する塩基は4種類 (アデニン (A)、シトシン (C)、グアニン (G)、チミン (T) )です (RNA では、チミンがウラシル (U) になります)。 塩基 これら塩基の並び方によってタンパク質のアミノ酸配列が決められています。もし4種類の塩基が、おのおの 1 個…

遺伝をつかさどる物質

1866 年、メンデルが遺伝の法則の論文を発表しました。 www.xtraetc.xyz その 3 年後の1869 年、スイスの生化学者 F. ミーシャーが、膿から死んだ白血球細胞の核を集めてリンを多く含む物質を精製し、ヌクレインと名付けました。このヌクレインは現在、クロ…

連鎖の解析法

[目次] 連鎖群 地図距離 ニ点交雑 三点交雑 連鎖群 遺伝子が連鎖しているということは、染色体上に遺伝子が線状に配列しているということです。 連鎖と乗り換え (交さ) - 高知と農業、あと哲学とか 連鎖しているグループ別に遺伝子を分けたときにできる遺伝…

「乗換え」の遺伝的・育種的意義

相同染色体は、減数第一分裂期に対合しますが、対合している染色体は合計 4 本の染色分体から構成されていることになり、この時期に相同染色分体間の任意の 2 本において、同じ場所で染色体の切断が起こってその部分を交換してつながることを、「乗り換え」…

連鎖と乗り換え (交さ)

2 組の遺伝子が別々の染色体上にあるときは、メンデルの独立の法則に従い、互いに独立に遺伝することにります。もし 2 個の遺伝子が同一染色体上にあるときは、遺伝に際して一緒に行動すると考えられます。このことを連鎖と言います。連鎖している遺伝子の発…

遺伝子の相互作用

遺伝現象は、いつも単純な 3 : 1 のメンデル比を示すとは限りません。表現型の発現は、実際にはさまざまな要因から影響を受けます。たとえば植物に対する温度や光などの外的な環境条件、あるいはホルモンや酵素などの内的な環境条件です。また、遺伝子間の相…

メンデルの遺伝の法則

メンデル (Gregor Johann Mendel, 1822-1884) は、遺伝に関して次の 3 つの法則を確立しました。 [目次] メンデルの遺伝の法則 優性の法則 分離の法則 独立の法則 メンデルの遺伝の法則 1. 優性の法則 対立形質をもつ 2 つの株の交配から得られる雑種第一世…

植物はどのような生き物か:植物の共通原理と定義

植物の大きさや形は、非常に多様です。1 cmにも満たない植物もあれば、100 m を超える高さに成長する植物も存在します。また地球上の植物が生育できる環境全てに適応した植物は存在しません。 [目次] 植物の基本的な特徴 植物の定義 植物と緑藻の共通点 陸上…

植物の、配偶子形成・重複受精

[目次] 配偶子形成 重複受精 配偶子形成 減数分裂は動物では卵巣と精巣で起こります。 www.xtraetc.xyz しかし、高等植物では、花の子房の中にある胚珠、おしべの葯の中で起こります。葯の中で減数分裂を行うのは、複相の小胞子(花粉)母細胞 (pollen mother …

植物の減数分裂

[目次] 減数分裂とは? 減数分裂と体細胞分裂の違い 減数分裂の過程 減数分裂とは? 有性生殖では、複相世代と単相世代とが交代で現れます。複相は基本数 (x、その生物種の生存に必要な最低限の染色体の総数) の 2 倍の染色体をもっていて、二倍体とも言いま…

植物の体細胞分裂

細胞が分裂する理由は、成長に必要な細胞の供給と、子孫を残すための生殖を可能にするためです。 細胞はその生命活動により構成成分を倍加させるので、細胞が大きくなります。そのことによって生じる細胞膜表面積と細胞体積とのアンバランスを元に戻さなけれ…

植物細胞の特徴

17 世紀、フックは世界で初めて細胞を観察しました。フックが観察した細胞は、植物のものでした。それから 1 世紀以上の後、1838 年に植物学者シュライデンと動物学者シュワンがそれぞれ独自に、すべての生物は細胞からなるという、細胞説を提唱しました。こ…

光周性とは何か

光周性 (photoperiodism) とは, 植物が日長の変化を感じて季節を判断し, 開花時期や休眠の導入時期などを決定する反応のことです. 日長感応性 (photoperiodic sensitivity, sensitivity to photoperiod) とも言います. 植物の成長は, 光・温度・湿度・栄養条…

春化: ヴァーナリゼーションとは何か

植物が低温によって花成が誘導されることを春化 (vernalization) と言い, 春化を人為的に行うことを春化処理と言います. 春化は 1918 年, ガスナー (G. Gassener) によって発見されました. ガスナーは, 秋まき型冬ライムギの種子を低温 (1 〜 2 ℃) で発芽さ…

花卉園芸における開花と温度の関係

植物は, 生育している場所の環境を感知して成長量を調節したり, 生育相の転換を決定していきます. このような植物にとって, 温度は光と同様, 重要な情報源です. 【目次】 植物の成長と温度 温周性と植物の成長 日周期の温周性 年周期の温周性: 低温要求・高…

花卉園芸における幼若相・花熟相

植物は種子発芽後, 花芽形成の起こらない「幼若相」(juvenile) を経て, 花成刺激に反応して花芽形成を開始できる能力のある「花熟相」 (ripeness to flower) へ移行します. 花卉園芸で取り扱われる植物には, どういった幼若相・花熟相があるのでしょうか. 【…

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