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遺伝子発現制御における翻訳後修飾

翻訳されたタンパク質の機能が共有結合性の修飾により制御されることがあります。

[目次]

 

リン酸化が最も広く見られる制御ですが、糖付加や脂質 (ファルネシル基やミリストイル基) 付加も重要な役割を果たしています。これらの修飾を受けたタンパク質は、新たなタンパク質と結合したり、細胞内局在を変化させたりする場合があります。ヒストンのアセチル化やメチル化は転写調節に重要です。ヒストンだけでなく DNA 結合型転写因子の機能がアセチル化やメチル化により制御されることがあります。また、ユビキチン化によって、分解を介さずに転写因子の機能が制御されることがあります。

タンパク質分解による制御

ユビキチンはアミノ酸 76 個からなるタンパク質です。ユビキチンの C 末端のカルボキシル基と標的タンパク質のリシン残基のイソペプチド結合により共有結合します。さらに、ユビキチンのリシン残基にユビキチンが次々と付加されると (ポリユビキチン化)、このタンパク質は26S プロテアソームへ移行し速やかに分解されます。

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すなわち、ポリユビキチン化は分解されるべきタンパク質の目印、タグと言うことができます。分解されるべき標的タンパク質を認識するのは、E3 と呼ばれるユビキチンリガーゼです。多くの転写因子や信号伝達に介入する因子の安定性が、この形によって制御されています。E3 は複合体として機能するものが多く、構造の特徴から HECT 型、U-box 型、RING-finger 型の 3 つに分類されます。このうち植物の信号伝達で特に重要な役割を果たすのが Ring-finger 型に属する SCF 複合体です。SCF 複合体は、標的タンパク質を認識する F-box タンパク質、E2 と結合する Rbx1 などから構成されます。SCF 複合体は F-box タンパク質を交換することで、様々な標的タンパク質をユビキチン化します。

モノユビキチン化は、分解促進ではなくタンパク質の機能制御に関与する場合もあります。

タンパク質の品質管理

細胞が様々なストレスにさらされると、正しい高次構造をとっていない不良タンパク質が小胞体に蓄積し、小胞体ストレスと呼ばれる状態になります。小胞体ストレスのセンサーの1つは小胞体膜に結合している IRE1 です。IRE1 は真核生物に広く保存されています。シロイヌナズナの IRE1 は、リボヌクレアーゼとして mRNA を分解しタンパク質合成を抑制することにより小胞体への負荷を軽減するほか、転写因子 bZIP60 の mRNA の選択的スプライシングを引き起こします。選択的スプライシングにより核移行が可能になった bZIP60 は小胞体シャペロン遺伝子などの転写を誘導し、タンパク質が正しい高次構造をとるよう再ホールディングを促進します。

 


 

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