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植物細胞の特徴

17 世紀、フックは世界で初めて細胞を観察しました。フックが観察した細胞は、植物のものでした。それから 1 世紀以上の後、1838 年に植物学者シュライデンと動物学者シュワンがそれぞれ独自に、すべての生物は細胞からなるという、細胞説を提唱しました。この 20 年ほど後には、ウィルヒョウが「すべての細胞は細胞から生まれる」という言葉を追加しました。これらは現在では、生物発生原則として知られています。現代のわたしたちは、細胞を DNA  に置き換えて、生命の連続性を DNA  レベルで捉えられるでしょう。

細胞は生物の基本構成単位です。細胞は非常に小さいのですが、高度に組織化されています。また、その構造から原核細胞と真核細胞に分類されます。原核細胞は細菌と古細菌で、大腸菌やメタン細菌、光合成細菌などがそれに当たります。真核細胞は、アメーバなどの原生生物、真菌類 (酵母やカビ)、植物、動物がこれに属します。原核細胞では、核などの内部構造物はほとんど見当たりません。一方、真核細部では、膜で仕切られた核を始めてとして、さまざまなオルガネラが存在します。

ここでは植物細胞の構造をみてみましょう。

[目次]

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(画像出典: 福井・向井・佐藤『植物の遺伝と育種 第2版』(朝倉書店、2013)

細胞の大きさ

まず、植物細胞の大きさは平均して 100 μm くらいです。なかには、ワタの種子の毛の細胞のように数 cm になるものや緑藻類のカサノイのように単細胞で 10 cm になるものもあります。ただ、細胞はふつう、非常に小さいものです。細胞が小さい理由は、体積が小さいほど体積当たりの膜の表面積が大きくなるので、膜を通した物質の出入りがより効果的になって、細胞抗生物質の濃度調整やた医者がしやすくなるからだと考えられています。また、細胞内の生体科学反応は、生体高分子のランダムな衝突によるので、分子が接近しているほどうまくいきやすいことも理由として考えられています。

核の役割

核は、細胞のなかで最も大きいオルガネラです。核には 2 つの重要な役割があります。遺伝情報を複製し次世代の細胞に伝える生殖の役割と、生命活動を調節するために数々の指令を行うという制御の役割です。

核の構造

核は核膜と呼ばれる 2 枚の二重膜で囲まれています。核膜には、核と細胞質の間で巨大分子を選択的に輸送するための穴 = 核孔があちこちに存在しています。内側の核膜である内膜は、核ラミナという構造体に裏打ちされています。核ラミナは 3 種類のタンパク質からできていて、核の構造を支えるとともに染色体などと結合します。外膜は小胞体膜と連続しています。この膜と内膜との間の空間は、小胞体の内腔とつながっています。

核小体

核の中には核小体という構造体があります。核小体には RNA とタンパク質が含まれています。ここでは、リボソーム RNA  の合成が行われていて、この RNAリボソームタンパク質を使ってリボソームが作られています。

植物細胞と動物細胞の違い

植物細胞が動物細胞と違っている特徴は、葉緑体、液胞、細胞壁を持っている点にあります。

葉緑体

葉緑体は、緑色の凸レンズ形をしたオルガネラです。光合成を行って植物に必要な栄養分を提供しています。電子顕微鏡で観察すると、ストロマと言う二重膜で囲まれた葉緑体の内部に、チラコイドと呼ばれる平らな円盤状の袋が積み重なった構造(グラナ)が見られます。チラコイドの内部には、クロロフィルなどの光吸収性の色素が含まれ、葉緑体光合成電子伝達反応(明反応=光を必要とする反応)系に関係するものを全て含んでいます。チラコイドの一部が細長く伸びて、グラナとグラナの間を相互につないでいますが、この構造をラメラといいます。その他、ストロマには、葉緑体独自のDNAやRNAリボソーム、暗反応(光を必要としないで二酸化炭素の固定を行う反応)に関与する酵素などが含まれています。

液胞

液胞は、1枚の二重膜で細胞質から隔離されていて、植物細胞の中で最も目立つ構造物です。細胞の種類によって、液胞の大きさや内容物は大きく変わります。液胞は分裂細胞では非常に小さいのですが、成熟した細胞ではよく発達していて、細胞の90%以上を占めることもあります。また液胞には、動物細胞のリソソームと共通の性質として高分子物質の分解酵素群が存在するほか、細胞の膨圧の維持、各種物質の貯蔵などの機能があります。細胞が成長するとき、液胞の中に水を取り込んでその容積を増加させることによって、細胞質の体積を増やさなくて済みます。花びらの色も液胞に貯蔵された水溶性の色素によって現れます。液胞に有毒物質を蓄えている植物もあって、草食動物に食べられるのを防いでいます。

細胞壁

細胞壁は、動物と植物の体制の違いを生じさせている最大の要因です。植物が体を動かしたり移動したりできないのは細胞壁があるからだと考えられます。細胞壁は、セルロースの繊維を多糖類とタンパク質からなる基質に埋め込んだ強固な構造物です。細胞壁を構成する物質のうち、非セルロース性多糖類はゴルジ体で作られます。ゴルジ体は1枚の二重膜の扁平な袋が重なった構造で、小胞体に近接する側をシスのう、細胞膜側に近い方をトランスのうといいます。小胞体で合成されたタンパク質は、シスのうへ入り中間のうを経てトランスのうへ送られる過程でオリゴ糖が結合するなどの修飾を受け、トランスのうで再び小胞に含まれてゴルジ体を離れ、細胞表面やリソソームへ微小管のレールに沿って運ばれます。ゴルジ体内で合成された細胞壁の成分も同じように運ばれます。

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