園芸という言葉を聞いたことがある方は多いと思います. 園芸って農業の一部でしょ, ていうなんとなくなイメージは持たれているかもしれません. が, はっきりとした定義や特徴までわかっている方は少ないのではないでしょうか.
園芸と農業ってどう違うの? みたいな.
この記事は, 園芸とは何か, そして園芸作物とは何か, その定義と特徴についてまとめてあります.
植物資源と作物
植物資源と生物, 農業
- 農業の仕事は, 植物生産のために植物を管理する
- 植物の光合成を利用して, 食料, その他人間の利用する形で太陽エネルギーを固定, 供給する産業
- 植物は, 太陽エネルギーを植物資源に変換している
- 人間を含む地球上のあらゆる生物は, 植物資源に直接または間接に依存して生存している
作物
- 人間の生活する地球環境の保全・修復に役立つという意味からでは, 地球上のすべての植物が資源植物と言える.
- 人間が直接に利用している植物 = 資源植物
- 資源植物のなかには, 野生のままで人間に利用されつづけているものもある
作物 = 栽培化された植物
- 利用目的を中心として分類される
- 食用作物 = 穀類, イモ類, マメ類など主食になる
- 園芸作物 = 蔬菜, 果樹など
- 工業原料作物 = 繊維, 油料, 嗜好料, 糖類, 薬料など
- 飼料作物 = 家畜の餌
- 観賞用植物 = 草花, 花木, 造園用樹木
園芸・園芸作物の定義
園芸
- 園芸 = horticulture の訳語
- Lobscheid 編纂の『English and Chinese Dictionary』( 1867 ) で初めて horticulture が「園芸」と訳された
horticulture の語源
- ラテン語の hortus + cultura
- hortus = 囲い
- cultura = 栽培管理
- horticulture = 園芸 = 比較的狭い土地を柵などで囲い, 植物を保護しながら多くの生産資材と労力を投じて, 集約的な栽培管理・経営を行うこと
- 園芸作物 = 果樹・蔬菜・花卉を中心に生産を営む農業 = 園芸
自給園芸から市場園芸へ
- もともとは自給生産を主体とする自給園芸・家庭園芸として行われていた
- 年の発達によって消費人口が増加. これに伴い, 市民に新鮮な園芸作物を供給する目的で市場園芸が成立した
- 高度経済成長期以降は都市圏の拡大に伴い, 大量少品目生産を行う大型輸送園芸への依存度が高まった. 一方, 自給生産は減少した ( 現在のかたちへ )
園芸作物
園芸作物 = 果樹・蔬菜・花卉
- 生鮮な状態で利用される
- 集約的な栽培・管理
食用作物・工業原料作物・飼料作物・緑肥作物
- 畑や水田などの圃場 field で大規模・粗放に栽培される
- 「農作物」と呼ばれ, 園芸作物から区別される
果樹・蔬菜
- 食用作物の一部
- 主食として利用されることは少ない
蔬菜は副食物, 果樹は嗜好食品 ( 蔬菜と合わせて副食物になる場合もある )
- 柔軟多汁な形質
- 貯蔵性に乏しい
- カロリー, タンパク質が乏しい
- 栄養面の機能として, 無機塩類・ビタミン類, 食物繊維を供給
花卉
- 室内の装飾 ( 切り花・鉢物 )
- 外囲の装飾 ( 花壇, 植栽 )
- 装身 ( ブーケ, コサージュ )