病害虫防除の基本的な考え方, およびその方法を紹介するシリーズ「病害虫防除の基本的な考え方」. 前回は, 農薬を使用しすぎると効かなくなる仕組みについて説明しました.
今回は, 病害虫の発生の予測について説明します.
病害虫防除が必要なのか・そうでないのか, あるいは, 防除が必要であればそのタイミングはいつなのか, といった判断するにはどうすればいいのでしょうか.
もっとも基本的なのは, 圃場の発生状況と観察ですが, これに加えて, 各都道府県にある病害虫防除所が発表する発生予察情報を活用することも重要です.
発生予察は, 病害虫による経済的損失を最小限にすることを, 目的にしています.
病害虫防除所は, 植物防疫法に基づいて設置された行政機関です. 各都道府県内各地に設けた予察灯などでカメムシなどの害虫を誘殺し, その調査結果と, 発生に大きく影響する気象情報をもとにして, 発生量や被害程度を予測し, 病害虫発生予察情報を発表しています.
予察情報の種類
- 予報: 主要病害虫の発生予想を定期的に発表する
- 注意報: 病害虫の多発が予想され, 早めの防除対策が必要な場合に発表
- 警報: 病害虫の大発生が予想され, 早急な防除対策が必要な場合に発表
- 特殊報: 新規病害虫の発生や, 生態および発生消長が特異な場合に発表
なお, 病害虫防除所では, 新規病害虫の国内への侵入や蔓延を未然に防ぐために, 国の植物防疫所と協力して侵入警戒調査も行われています.
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今回は, 病害虫発生の予測について説明しました. 次回は, 主要な農業害虫について紹介します.