本記事は, 植物育種学を学ぶために作成したノートを, ブログ用に編集したものです.
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導入の目的と対象
- 他の地域に適応している作物の品種を導入して, そのまま栽培・利用することを導入育種という
生殖質の利用 (教科書下線)
- 導入された生殖質 germplasm は, そのまま品種として利用される場合と, その地域に適応した新品種を育成するための育種素材として利用される場合がある
- 他の地域に適応していた品種がそのままの形で新たな地域に適応することは難しい. したがって育種のレベルが高い場合には導入育種がそのまま実用品種として栽培されることは稀である
- 現在では, 生殖質の導入は新品種の導入というよりも遺伝資源の導入という側面が強い
遺伝子中心説と導入育種 (教科書下線)
- 生殖質を導入する際には, どこから何を導入するかについて明確な戦略が求められる
- バビロフの遺伝子中心説によれば, 作物の遺伝的多様性はその作物の原産地で最も大きいとみられるので, それぞれの作物の起源地は導入育種の目標地域になる
- また, 作物の起源地に残存している祖先種あるいは近縁野生種は, 人間による保護を受けていないので, 耐病性・耐虫性などの各種ストレス耐性をもっていることが期待されている
検疫と評価
導入育種における注意点
- 病原菌, ウィルスや害虫を, 作物の種苗 (種子および苗) とともに持ち込まないこと
動植物検疫制度
- 外来の病原菌や害虫は, 新しい環境では生育条件が異なるために共存できない場合もあるが, 天敵のような拮抗する生物が存在しないために爆発的に蔓延することもありうる
- そのため, 各国は動植物検疫制度を設けて外来の病害虫を持ち込まないようにしている
検疫の方法
- 食料や種子の場合は, 強力な薬剤で燻蒸するなどして病害虫を駆除できる
- 種苗の場合は激しい消毒ができないため, 病害虫に犯されている恐れのあるものは廃棄される
- 土壌は多くの微生物を含んでいるので, 苗の根についた土は完全に洗い流さなければならない
ウィルス対策
- 種子の内部に侵入した菌・種子伝染性のウィルス・栄養繁殖作物の種苗に侵入しているウィルスなどは駆除できないので, 新たに導入された種苗は周囲から隔離されたガラス室で試作し, 罹病の有無を検査して新しい種苗を生産する
参考文献
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