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イネの起源

イネ、コムギ、トウモロコシ、オオムギなどの主要な食料は、私たちにエネルギー源として炭水化物を供給してくれますね。これらの植物はいずれもイネ科穀類です。長い年月をかけて、人類は、野生の動植物の狩猟採集という方法で食料獲得してきましたが、今から 1 万年ほど前に、これらの動植物の一部を管理して食料を生産するようになったと言われています。その結果、人類はこれまでの移動生活から出して、定住するようになって、村落を発達させました。集団、定住生活は、生活技術を向上させて、文明を発祥させる要因になったのです。こうした文明の発展は、イネ科穀類の栽培を中心とする農耕の起源と深い関係があります。つまり、イネ科穀類は、栄養価が高く、簡単な調理加工で食べられて、長期保存ができ、さらに大量に栽培できて収量が多いなどの優れた特徴をもつのです。

ここでは、世界の主要穀物である、イネの起源について見てみましょう。

[目次]

 

イネとアフリカイネ

イネ​の仲間であるイネ属は、全世界の湿潤な熱帯地方に 24 種ほど知られています。このなかで食用として栽培されているものは、イネ (Oryza sativa) とアフリカイネ (O. grlaberrima) の 2 種だけです。

イネは、現在では北限として北緯 50 度付近まで、標高は海抜 2600 m 付近までの、さまざまな環境下で栽培が可能となり、多くの品種が成立しています。

​一方のアフリカイネは、西アフリカの一部の地域のみで栽培されているだけです。

ゲノム分析の結果からイネ属には、A、B、C、D、E、F、H、J の各ゲノムが知られています。

 

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また、二倍種のほか、四倍種 も存在します。

イネとアフリカイネは、いずれも A ゲノムをもつ二倍種です。その雑種は減数分裂において正常な 12 個の二価染色体を形成しますが、高い不稔性を示します。

野生種の中で、オリザ・ルフィポゴン (O. rufipogon) がイネの直接の祖先種であると言われています。一方、アフリカイネの祖先野生種はオリザ・バルチ (O. barthii) です。

栽培イネの発祥地

栽培イネの発祥地としては、最初はインドの熱帯低湿地帯が有力視されていました。というのも、野生種のオリザ・ルフィポゴンが生育し、栽培種の変異が多様だからです。

それから、民俗学的な研究や遺伝学的な分析から、インド東部の山岳時代のアッサムからビルマ北部を経て、中国の雲南省地域が起源値であると考えるように考えられるようになりました。

バビロフによる栽培植物の 8 大原生中心地

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1. 中国 (中央および西部tの山岳地帯とその周辺の低地): ダイズ、ソバ、モモ、アズキ
2a. インド (北西インド、パンジャブを除く地域。ただしアッサムとビルマは含む): イネ、ナス、キュウリ、ゴマ、サトイモ、マンゴー
2b. インド-マレー (マレー半島、ジャワ、ボルネオ、スマトラ、フィリピンおよびインドシナ): バナナ、サトウキビ、ココヤシ、パンノキ
3. 中央アジア (パンジャブカシミールを含む北西インド、アフガニスタンタジキスタンウズベキスタン、および天山山脈の西部): ソラマメ、タマネギ、リンゴ、ブドウ、ニンニク
4. 中近東 (小アジア、トランスコーカサス、イラン及びカスピ海東方山岳地帯): オオムギ、コムギ、エンバク、ニンジン
5. 地中海地域: エンドウ、レタス、アスパラガス、キャベツ、オリーブ
6. アビシニア (エリトリア高原を含む): オクラ、コーヒー、アマ
7. 南部メキシコ・中米 (西インド諸島を含む): トウモロコシ、サツマイモ、インゲンマメ
8a. 南米 (ペルー、エクアドルボリビア): ジャガイモ、ワタ、トマト、ラッカセイ、タバコ
8b. チリのチロエ島: イチゴ
8c. ブラジル-パラグアイ: パイナップル

イネの長江起源説

その後、中国の長江 (揚子江) 下流域で、8000 〜 9000 年前の遺跡から、イネが栽培されていた直接の証拠である炭化したイネ籾が出土し、長江起源説が浮上しました。長江起源説は、少なくとも、8000 〜 9000 年前に、中国でイネが栽培されていたことを示しています。現在では、イネの祖先型野生種でオリザ・ルフィポゴンは中国の南部でしか見られません。しかし当時の気候は温暖であり、炭化した籾を調べた研究から、長江流域でも野生種が生育したことが証明されています。

ジャポニカとインディカ

​アジア各地で栽培されているイネは、ジャポニカとインディカに区別されます。さらにジャポニカは、主として日本で栽培される温帯ジャポニカと、インドネシアなどの熱帯で栽培される熱帯ジャポニカ (ジャバニカ) に分けられます。

中国の遺跡から発見されたイネはジャポニカなので、インディカの起源に関しては謎のままです。ところが、遺伝学的に見ると、野生のオリザ・ニバラ (O. nivara) が最もインディカに近いことから、ジャポニカとインディカは異なる祖先から生じたという説もあります。

しかしイネの起源地や、インディカの起源、あるいはジャポニカの温帯型と熱帯型がいつ頃に分化したのかなどまだまだ未解決な問題は多く残っています。最近のアジアイネの大規模なゲノム解析によって、ジャポニカとインディカが同じ起源を持っていて、しかも中国長江流域が発祥地であるという報告がされ、ジャポニカとインディカの単一起源論も支持されています。

 


 

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