新しい種はどのように生まれるのでしょうか。進化の要因とは。植物における種分化と進化について、簡単に解説します。
[目次]
新しい種の形成
新しい種が形成されることを種分化といいます。種分化は、進化の 1 つの結果です。種分化の様式にはいくつかの型があって、その 1 つが系統進化です。
系統進化
系統進化とは、時間とともに種に変化が起こって、すべての個体が元の祖先と明らかに違ったものになることです。系統進化では、新しい種を生み出すことはできますが、種の数を増加させることはできません。
1 つの種から 2 つ以上の種
1 つの種から 2 つ以上の種が生じる場合もあります。例えば、種内の別の集団が異なった環境条件にされされた場合、違った種類の変化が起きて、別の種として分岐することがあるのです。
二次種分化
他にも、2つの種が雑種を形成して 1 つの新しい種をつくることがあります。これは二次種分化と言います。植物では、異種間の交雑が起こる機会が多いので、二次種分化
は種形成において特に重要です。
地理的な隔離と進化
ある種の集団が、地理的に隔離された場合、元の集団との遺伝子の交流がなくなります。したがって、隔離された集団は、その環境に適応し独自に進化することになります。その結果、別の種が形成されるのです。地理的な隔離としては、新しくできた火山、川、島などの障壁、さらに大陸移動が挙げられます。
植物と雑種
植物は動物と違って、自然界においてしばしば雑種を形成します。
動物の場合、雑種形成自体がまれな現象です。動物においてはたとえ雑種ができても不妊で子孫を残す事はありません。
しかし、植物では、雑種が栄養生殖や元の両親との交雑によって子孫を残すことがあります。雑誌同士が交雑することよりも、両者のどちらか一方と交雑することの方が多いと考えられています。
浸透交雑
戻し交雑が続けば、他の種の一部の遺伝子が導入され、結果的に両親種のそれぞれよりも、遺伝的変異の幅と適応度の幅を増大させることになります。この過程を浸透交雑あるいは移入交雑といいます。例として、アヤメ、アキノキリンソウ、オダマキ、エギロプス、オオムギなどが挙げられます。
進化の要因
進化をもたらす要因としては、自然選択、突然変異、遺伝的不動、隔離などが考えられます。
突然変異
減数分裂における乗り換えや、有性生殖での配偶子のランダムの組み合わせは、既に存在する遺伝子の新しい組み合わせによって変異を生じさせます。これは新しい遺伝子を生み出すものではありません。新しい種類の遺伝子は、突然変異というDNAのランダムな変化や、染色体の最配列から生じます。したがって、突然変異は新たな変異の供給源、すなわち進化の原材料になる重要な出来事なのです。
突然変異が自然に起こる頻度は、1 遺伝子あたり 100 万個の配偶子につき 1 〜 100 個です。
ただ、ほとんどの突然変異は有害で、自然選択により集団中から取り除かれます。
遺伝的不動
遺伝的不動とは、集団の遺伝子頻度が偶然的に変動することをいいます。この現象は小さな集団で見られます。遺伝的不動によって、対立遺伝子が消失したり増加したりする場合があります。特に、集団が一時的に小さくなるときに生じる遺伝的不動の影響を、ビン首効果といいます。
種の定義
新しい種とは何か、を考えるためには、しかし、そもそも、種の定義とは何か、を考えなければいけません。ただ、種の定義はまちまちです。最も一般的な定義としては、「互いに考察が可能な個体全体を指し、その集団が、他の同様な集団と生殖隔離されているもの」です。しかし、交雑が可能であるという基準は、植物では、種間雑種形成がしばしば行われるので、あまり適切ではないといえます。