人は, 山野に自生している植物を採取して利用してきました. これを狭義では「野菜」と呼びます. 一方, 作物的に, 栽培という手段を通して生産される, 穀物・果樹・花卉以外の植物を狭義では「蔬菜」と呼びます. 現在では野菜という言葉が一般的ですので, 蔬菜 = 野菜ととらえていただいてもかまいません. ただまあ, こういうふうに書くとけっこう, 野菜の定義って難しいものですね.
現在でも, 蔬菜的ではなく, つまり, 人が栽培することのない, 狭義の「野菜」的な, 野生の植物を利用する場合があります.
自然分類
日本で栽培されている蔬菜は, 分類学上, 真菌類 ( 亜界 ) の担子菌 ( 真菌植物門 ), シダ植物, 種子植物などの門に属しています.
- 種子植物門は裸子植物と被子植物との 2 つの亜門に分けられるが, 裸子植物に属する蔬菜はない
- 蔬菜の分類上最も重要な種類を含んでいる裸子植物には, 双子葉類と単子葉類の 2 つの綱からなる
- 双子葉類綱は古生花被類 ( 離弁花類 ) と後生花被類 ( 合弁花類 ) の 2 つの亜綱に分けられる
- 古生花被類 ( 離弁花類 )・・・イラクサ, タデ, アカザ, キンボウゲ, ケシ, バラ, フウロウソウ, ミカン, アオイ, ウリ, フトモモ, セリの 12 目
- 後生花被類 ( 合弁花類 )・・・シソ, キキョウ の 2 目
- 単子葉類綱 ・・・イバラモ, ユリ, イネ, サトイモ, カヤツリグサ, ラン の 7 目
人為分類
利用する部位 ( 需要部位 ) によって分けられます.
- 葉菜類・・・葉
- 根菜類・・・地下部 ( 肥大根, 塊根, 地下肥大茎など )
- 果菜類・・・果実
- 茎菜類・・・地上茎
- 花菜類・・・花蕾や花
- 葉茎菜類・・・花菜類であるカリフラワー, ブロッコリーなどは葉菜類キャベツ類に含まれるので, これらを総称して「葉茎菜類」
ウリ類
- 植物学的にウリ科に属する果菜類. 果実は子房下位花から発達した偽果で, 花托組織と子房壁がともに発達した
ナス類
- 果菜類のうちナス科に属する. 果実は子房上位花から発達した真果
イチゴ・雑果類
- ウリ類, ナス類, マメ類を除いた果菜類で, バラ科のイチゴやスイートコーン, オクラ, ヒシ, オビバスなど. 植物学的に多分野にわたる
マメ類
菜類
- 油菜科に属する葉菜類で, ハクサイ, キャベツ類, ツケナ類など
生菜類
- 比較的柔らかい葉をサラダなどにして, 主に生で利用する種類
柔菜類
- 葉や茎部を主として煮て食用とする
香辛菜類
- 特有の香りや辛味などを含有し, 肉や魚料理などに加えて風味を高めたり, 食品の香りづけなどに利用される
鱗葉球類
- 葉鞘部が肥厚して, 鱗葉球を形成するネギ類およびユリ類
直根類
- 種子繁殖で胚軸と幼根の生長, 肥大した直根を利用する
塊茎・塊根類
- 栄養繁殖を行って, 地下茎や不定根の肥大した塊茎, 球茎, 根茎, 塊根などの「いも」を利用する
シダ類
- 山菜として利用されるシダ植物類
キノコ類
- キノコ類は林産物であるが, 蔬菜的に利用されているので, 蔬菜に含まれている