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日記系雑記ブログ: 農業、データサイエンス、自然

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情報収集 2.0: 動画と音声を活用した新時代の情報術

Audibleで、佐々木俊尚『読む力』を聴取しました。知的とは無縁の人生だった著者が、いかに情報収集・整理をしているのかについてのノウハウ本です。知的とは無縁と言いながら、早稲田大の政経に合格し、毎日新聞へ勤め、現在はフリージャーナリストという経歴から、「十分知的じゃないか...」と思ってしまいました。

私は都内の四流私立大学文学部に入学し、零細学習塾へ勤め、現在は農家です。

そんな私大文系卒農家の私からすると佐々木氏の経歴は知的も知的、知的過ぎてドーッンという感じなのですが、今回、この「読む力」を聴いて、ちょっと 2、3 気になる点があったというか、ははん、これでは確かに知的とは言えませんぞ、であるとか、もっとこここうした方が効率的なのに! といったところがありましたので、哲学で修士号を取得し、農学の博士課程に在学している私がお話ししたいと思います。

1. 専門家の見つけ方について。

佐々木氏は、Twitterなどの専門家をフォローし、上質な情報を得るようにしていると言っています。ただその際、その専門家が本当に信頼足り得るものなのか、Twitter上でのその専門家のアカウントの交流をよく観察することで判断しなければならないと言っています。これはとても面倒ですね。

私はあまりTwitterを積極的に活用しないのですが、と言うのも、罵詈雑言で溢れているから。以前は、自分がフォローしてない人の情報が流れて来ませんでしたが、勝手に他人のお気に入りとかが流れてくるようになって、それ以来、目したくない情報に触れる機会が増えたので、Twitter とは距離を取っています。

ですが、専門家の意見と言うのは、やはり常に収集したいところですよね。特に、メディアに出演して、とても難解な内容をわかりやすく説明してくれる専門家の存在は貴重です。しかし、大学の先生といったふうにテレビなどで紹介されていても、本当に信頼できるかどうかは、また別の話です。ではどのようにして専門家の信頼度を判断すればいいのでしょうか。

正直なところ、確実な方法はありません。ただ、一つの目安として、論文検索サイトで専門家の名前を検索する、といった方法があります。そしてそこで論文がある程度多数ヒットすれば、そして公表年が 1 〜 2、3 年以内であれば、現役で研究をしている専門家なんだなというのがわかります。その論文も、査読付きの方がいいですね。もっと言うと査読付きの論文がたくさん引用されている専門家は、かなり信頼度が高いです。

この方法だと、Twitter でよく観察して周りの専門家から一目置かれているかどうかといったような曖昧なものではなく、引用がたくさんされている査読付き論文を何本書いているか、というとてもわかりやすく具体的な判断基準になります。もちろん、掲載論文誌のインパクトファクターといったようなもっと判断材料になる要素はあるのですが、ニュース番組に出てくる専門家の信頼度を測りたい程度であれば、査読付き論文が引用されているかどうかくらいで充分だと思います。

2. 本の選び方

佐々木氏オススメのKindleはあまり信用していません。やはりいきなりデータがなくなるケースがあるようで、ちょっと怖いです。わたしはパソコンも Apple 社製の製品を使っているので、電子書籍を買う場合は、アップルのサービスを利用して買うようにしています。PDFで売られている場合は、そちらを選択します。というか PDF 含め電子書籍自体、実はあまり利用したくありません。何か入門書がほしくなった場合、英語で入門書があってそれが公式でPDFで無料公開されている場合にはそれを入手するようにはしています。ただ、できるだけ紙の本がほしい。なぜかというと、電子書籍だと、未読のボリュームが分からないからです。気が付いたら、端末のなかにいつ購入したか忘れた未読の電子書籍がたまってしまいます。「あ、まだこれ読んでないな!」と自覚するためにも、なるべく本棚に置ける、紙の本を買うようにしています。紙の本は、別の本の参考文献で知ったり、ネットの新刊情報で知ったりして、なるべく地元の書店で買うようにしています。地元の書店にない場合は、図書館を利用します。近所に大きな図書館がなくても、県立の図書館から、近所の公民館まで本を予約・配送してくれるサービスがあるので、それを利用します。そこで、もっと付箋やメモを記入しながら読み込んで行きたい本だと判断した場合に、その本を買います。地元の書店にも図書館にもない場合、技術的実用書な本であれば「縁がなかった」と思って諦めます。自分が関心があって 4,000 円以上の専門書であれば、買うようにしています。というのも、高額な専門書は廃版になってしまいかつ近所の図書館にもない場合は、古本市場で何万円もの値段で高価売買されるようになったりして、入手が極めて困難になることが多いからです。

では、佐々木氏のオススメするように、外出先で入門的な内容を知りたくなった場合はどうするのか。web 記事を読むより、電子書籍を買った方が便利なのではないか? 私は、オーディオブック、YouTube を活用します。

3. オーディオブック、YouTubeを活用

何か新しい物事について、入門的に知りたいのであれば、web サイトの記事や電子書籍、紙の本よりも、オーディオブックやYouTubeの方がオススメです。外出先か否かに関わらずです。いちばん大きな理由は、何か他の単純作業しながら、聴くくことができるからです。YouTubeの場合、どうしても映像がないと理解しにくい場合は、映像を見なければなりませんが。例えばDNAが複製される様子であるとか、楽器演奏であるとかですが、、そういったものは、静止画しか掲載されていないメディアよりも、YouTube などの動画の方がはるかに分かりやすい。

どうしても動画でなければならないとか、出先で紙の本をすぐ買えないとかいった場合でなくても、とにかく私の場合、何か新しい物事について知りたい場合、やはりまず YouTube を検索します。そうすると、例えば時事問題であるとか、ビジネス分野での流行りであったりすると、大手メディアが配信しているニュース大体20分くらいの特集番組がヒットしますので、それを1.5倍速くらいで視聴します。興味が湧いた場合は、専門家が説明しているような、もっと 1 時間とか 1 時間半くらいの動画を探したり、オーディオブックで検索したりします。

YouTube 上での専門的かつ長尺の動画としては、大学の講義とか、あとは国立の研究所や博物館・美術館の公開講座動画もオススメです。東京大学京都大学JAXA国立科学博物館国立国際美術館などなど、専門的な内容を長尺で知ることができます。

ニュースも YouTube で見ます。気になるものは再生履歴から再度視聴し、ブログなどで文章化します。時事問題の場合、長いスパンで時事問題をおいたい場合、日本記者クラブがオススメです。2022 年現在進行中の、ウクライナ問題や、新型コロナウイルスパンデミック問題など、気になる時事について専門家が長尺で解説しています。

本当に専門的なものはもう紙の本ですね。最近は論文のサマリーを YouTube で公開する研究者もいるようですが、日本ではどの程度一般的なのでしょうか? 最新の IT 系の専門的な内容を知りたいときは、逆にもっぱらウェブ記事を検索する場合もあります。現在、仲間と開発している iPhone アプリで参考にしたのは、Qiita や公式ドキュメントなど、基本 web 記事です。ちなみにオーディオブックでは、高度な専門的な内容であるとか、最新の専門的な内容についての知見を得ることはできません。

shinmisatoengei.com

ある分野の入門的内容を知りたいときに、YouTubeを利用する際の注意点ですが、作者がはっきりしているチャンネルを選びましょう。その作者も、専門性がなければいけません。ですので私は、VTuber であるとか、「ゆっくり解説」系であるとか、そういったものを入門としては視聴しません。特に歴史や政治などは、かなり繊細な内容ですので、作者がはっきりと信頼のある人でないと、誤った知識を得ることになってしまいます。名前をはっきり出していて、歴史や政治についてその人が説明している場合本当にその内容が信頼できるものなのかどうかは、前述の通り、論文検索サイトに名前を入れてみれば、大体は目星が着きます。「これは怪しいな」と思ったら、YouTubeのおすすめ欄に表示しないであるとか、関心がないであるとか、そういった設定ができますのでを強くお勧めします。おかげで私のYouTubeのおすすめ欄には、オリラジ中田氏は一切出てきません。たまにひろゆき氏の切り抜き動画は出て来ます。何とかしてほしいものです。

VTuber 系は、理系は、そんなに大きな間違いはないかもしれません。私も、Python の入門的な内容は、 Vtuber も参考にしました。ただ、入門的な内容であれば、大学の講義が最近は本当に充実してきていますので、そちらをオススメします。謎の VTuber の入門動画を幅広いジャンルで見るより、多少範囲は狭くても、大学の共通科目程度の講義動画を見た方が、断然勉強になります。また、大学によってはオープンキャンパスであったり公開講座であったり、90 分がっつりではなくても 20 ~ 30 分の講義動画を配信しているところもあります。繰り返しになりますが、国立の研究機関も講演動画を配信しています。そちらも参考になりますね。

4. オーディオブックの威力

オーディオブックでは、軽めの自己啓発書やビジネス書を中心に定額聴き放題できます。ラインナップは少ないですが、岩波文庫ブルーバックスといった、がっつりした内容も定額の範囲です。著作権の切れた日本の文豪の名著もよく揃っています。英語のオーディオブックで、付属資料が充実しているものもあります。

全てが聴き放題ではありませんし、中身の薄いタイトルもたくさんありますが、定額でもユヴァン・ハラリやジャレド・ダイヤモンドなど、紙で読んだらけっこう骨が折れそうなしっかりした内容のものも聴けます。個人的には行動経済学のオーディオブックが参考になりました。オーディオブックでは、それこそ、メリハリのきいたでインターバル聴きというか、重い内容を聴いたら次は軽めの内容、といった楽しみ方ができます。ジャレド・ダイヤモンドや日本の文豪、英語の長時間タイトルなど重い内容を聞いたら、箸休めに佐々木俊尚などのライトなビジネスマン向けのものを聞く、といったような具合です。

5. web 記事はPDF化してiCloudに保存

web 記事は、気になって後で読んでみたい場合、ポケットといったアプリは使用しません。iPhone で PDF 化して iCloud に保存します。そうすると web ページが削除されても、後で読むことができます。レイアウトが崩れてしまう場合や、どういう設定なのかなぜか印刷できない場合、また、複数ページにまたがっている場合は、「縁がなかった」として、保存しません。複数ページの記事を読むなら、同じ内容の 20 ~ 30 分程度の YouTube を観る方を優先します。YouTube になければ「縁がなかった」として、忘れます。また次の瞬間には次の関心が沸き上がるものです。

6. 音声入力を徹底活用

佐々木氏は、メモなどにスマホを利用すると言っています。私もスマホを利用します。ただ、もっぱら音声入力を利用しています。また、短めのメモではなく、1000文字2000文字程度であれば、音声入力を中心に文章作成してしまいます。完全に音声入力だけではなく、ときには手入力も組み合わせます。まだまだ誤変換・誤入力が多いからです。ただ、最後、ブログなどに公開するときに、誤字脱字がないかとか、構成をもう一回直すといった場合には、大きな画面の方が便利なので、パソコンを使います。この記事も、ほとんど音声入力で執筆しました。

以上、佐々木俊尚『読む力』を読んで、気になったポイントや、もっとこうした方がいいよ! でした。

まとめると、

  • 電子書籍を買うなら YouTube の専門家の動画を観よう
  • オーディオブックは意外と充実している。定額サービスに入ろう!
  • ポケットを使うより、PDF 化して iCloud に保存しよう!
  • 音声入力はけっこう優秀。手入力と併用でそれなりの長文を執筆可能。

です。

この記事が少しでも、皆さんの情報収集・整理術のお役に立てれば幸いです。

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