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遺伝性とは何か: 選抜効果 (育種学を学ぶためのノート (2))

本記事は, 植物育種学を学ぶために作成したノートを, ブログ用に編集したものです.

前回はコチラ.

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選抜

  • 生物集団が分化は, 選抜と隔離によって遺伝子頻度が変化することによって起こる
  • 育種操作も基本的にはこれと同様
  • 育種操作では, 選抜によって遺伝子頻度を変化させ, 他の集団との間で遺伝子を交換しないように隔離して新品種を育成する

選抜の施行と効果

  • 選抜は親の世代の表現型に対して行われる
  • その効果は子孫の遺伝的進歩によって判定される.

隔離

  • 選抜によって遺伝子頻度を更新させた集団を, 品種として確立するためには, 異種の集団から隔離 isolation して遺伝子の移入 migration を避けなければならない
  • 自殖性作物の場合は自殖性そのものが確実な隔離の手段になっている
  • しかし他殖性植物の場合は集団 (品種) 間の隔離に特別な操作が必要である (異種の花粉の混入を防ぐため)
  • 自殖の効果
  • 選抜と隔離において, 自殖性の最も大きい意味は, 毎世代, 異形接合型の割合が 1/2 に減少し, 最終的に純系になることである.
  • 1 個の対立遺伝子 A-a に関して, ヘテロの個体を m 回自殖した場合, 異形接合型の割合は 1/2^m で, 同型接合型の割合 (AA と aa の合計) は 1-1/2^m である
  • 複数 ( n 個) の遺伝子座についてヘテロな個体を m 回自殖した場合, すべての遺伝子座が同型接合型である個体の割合は, それらの遺伝子が独立して遺伝するならば, (1-1/2^m)^n である

他殖の効果 (1)

  • 他殖性植物の充分に大きい集団が任意交配 (random mating) する場合, 突然変異や選抜, 他の集団からの移入などが起こらなければ, 集団内の遺伝子型は変化しない

他殖の効果 (2) 任意交配の妨げ

  • 任意交配とは, 交雑の機会が配偶子の遺伝子型の頻度だけに依存していて, 似た者同士の交雑 (同類交雑) が高い頻度で起こったり, その逆の異類交雑が高い頻度で起こったりしないということである.
  • 交雑不和合性, 自家不和合性, 雄性不稔性, 選択受精などがあると, 任意交配が妨げられる

他殖の効果 (3) ハーディ・ワインベルクの法則

1 個の対立遺伝子 A-a について, 集団中の A の配偶子頻度を q, a の配偶子頻度を 1-q としよう. 任意交配によって生じる胞子体の頻度は, (Aq + a (1-q))^2 を展開した,

  • 遺伝子型 AA・・・頻度 q^2
  • 遺伝子型 Aa・・・頻度 2q(1-q)
  • 遺伝子型 aa・・・頻度 (1-q)^2

で, それから生じる配偶子の遺伝子型の頻度は,

  • 遺伝子型 A・・・ 頻度 q^2+q(1-q) = q
  • 遺伝子型 a ・・・ 頻度 q)1-q)+(1-q)^2 = 1-q

となり, 前の世代と同じことが繰り返される. これをハーディ・ワインベルクの法則という.

他殖の効果 (4) 自殖弱勢の防止

  • 一般に放任受粉によって継代維持されている集団には, 多数の弱勢な劣性遺伝子が異型接合体の形で保持されている
  • したがって, 人為的に自殖してホモ化すると, 自殖弱勢が起こる
  • 他殖性植物を人為的に自家受精, あるいは同系交配することによって, 有害な劣性遺伝子を除き, かつ, 組み合わせ能力の高い系統の間で交配を行うことによって, 合成品種や一代雑種が育成される

参考文献

次回はコチラ.

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