高知と農業、あと哲学とか

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光合成と花卉園芸

植物は独立栄養をおこないます。光エネルギーを用いて、水と大気中の二酸化炭素から炭水化物をつくり、自身の体を作ったりエネルギーとして利用しているのです。この過程で酸素が放出されます。

植物の生体重の80 〜 95%は水分です。水分を除いた乾物重の40数 % が炭素からできています。これらの炭素はすべて大気中の二酸化炭素から同化されたものです。

炭水化物はそのまま蓄積されたり、細胞壁を構成するセルロースなどの多糖類、核酸、タンパク質など、植物体の維持・成長に不可欠な物質の合成や、呼吸に使われたりしています。

【目次】

 

C3 植物の光合成

光合成 (photosynthesis) は、葉の葉肉細胞にある葉緑体 (クロロプラスト, chloroplast)で行われます。クロロプラストは二重の膜で覆われていて、内部には袋状の構造を持つチラコイドがあります。チラコイドの外側の部分をストロマといいます。

光合成は、チラコイドで光エネルギーを化学エネルギーに変換する光化学反応と、この化学エネルギーを利用してストロマのカルビン・ベンソン回路で炭水化物を合成する反応の2つに分けられています。

光化学反応

チラコイド膜にある光化学系Ⅱ (photosystem Ⅱ, PS Ⅱ) のクロロフィルは、光を吸収すると、電子を放出し酸化状態になります。これを還元状態に戻すために水から電子が取り出され、同時に O2 と水素イオン (H+) が放出されます。PS Ⅱ から放出された電子は、光化学系Ⅰ (PS Ⅰ) に伝達されます。PS Ⅰ でもクロロフィルは電子を放出し酸化状態になりますが、PS Ⅱ から伝達された電子によって還元状態に戻ります。

PS Ⅰ から放出された電子は、最終的にNADP+ へ伝達され、ストロマに NADPH をつくります。

NADP とは、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸のことで、光合成経路や解糖系の電子伝達物質です。NADP+ は酸化型で、NADPHは還元型です。
PS Ⅱ から放出された H+ は、ATP合成酵素に利用され、ストロマでATPをつくります。
ATPとは、アデノシン三リン酸の略で、生物体内でのエネルギーの貯蔵、供給、運搬を仲介します。

カルビン・ベンソン回路

カルビン・ベンソン回路 (Calvin Benson cycle) は、光化学反応で作られた化学エネルギーと、CO2 を利用して炭水化物を作る回路です。大きく 3 つの段階に分けることができます。

第 1 段階はカルボキシレーション反応です。炭素固定酵素ビスコ (Rubisco) よって、CO2がリブロース-1,5-二リン酸 (RuBP) と結合し、炭素数 3 の 3 - ホスホグリセリン酸 (3-PGA)をつくります。

第 2 段階は、3 - PGA が、ATP と NADPH を利用する酵素の働きによって、グリセルアルデヒド - 3 - リン酸へ還元され、その 1/6 から炭水化物がつくられます。

第3段階は、残りの 5/6 の G3P から RuBP を再生産します。この 3 つの段階が循環しているのが、カルビン・ベンソン回路です。

C4 植物の光合成

C4 植物は、C3 植物が持つ光化学反応型とカルビン・ベンソン回路に加えて、C4 ジカルボン酸回路という CO2 濃縮回路を持っています。

代表的な C4 植物には、食用作物であるサトウキビ、トウモロコシです。花卉では、シバ (暖地型) やハゲイトウケイトウマツバボタンスベリヒユなどがあります。

C4 回路では、大気の CO2 が葉肉細胞中に取り込まれ、重炭酸イオン (HO3-) になり、ホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼ (PEPC) によって炭素 4 のオキサロ酢酸が合成され、ただちにリンゴ酸あるいはアスパラギン酸代謝されます。

これらの C4 化合物は、維管束を取り囲むように配置されている維管束鞘細胞へ運ばれ、脱炭酸されて CO2 が遊離します。この CO2 がカルビン・ベンソン回路に入り、炭水化物が合成されるのです。

C4 植物の維管束鞘細胞の CO2 濃度は、C3 植物の葉肉細胞の CO2 濃度よりも大変高く維持されています。そのため、Rubisco による光呼吸が抑えられ、光合成速度が C3 植物より高くなっています。

PEPC は HCO3- と高い親和性があり、気孔があまり開かなくても十分な CO2 を取り込むことができます。このため、蒸散が抑えられる利点もあります。

CAM 植物の光合成

CAM 植物は、体内の水分損失を防ぐため、蒸散量が多くなる昼間は気孔を閉じ、夜間に気孔を開いて CO2 を取り込みます。

CAM 植物とは、ベンケイソウ型酸代謝をおこなう植物の総称です。花卉では、サボテン、ベンケイソウ、アナナス、リュウゼツランなどの一部の観葉植物と、ファレノプシスやカトレアなどのラン科植物があります。CAM 植物は、砂漠や、熱帯雨林でも水の供給が制限される樹上などに自生するものに多く見られます。気候数は C4 植物よりも極端に少ないもの多く、葉が肉厚で水分を多く蓄えるなど、水ストレスに適応するように進化した植物です。

夜間に取り込まれた CO2 は、PEPC によって C4 化合物であるリンゴ酸などになり、液胞中に貯蔵されます。昼になるとリンゴ酸から遊離した CO2 が、カルビン・ベンソン回路へ入り、炭水化物が合成されます。したがって、細胞中のリンゴ酸量は暗期の終わりに最も多く、明期の終わりに最も少なくなります。

ファレノプシスの場合、光環境が適切であれば、葉のリンゴ酸量の日較差は 150 mmol/㎡ になります。葉のリンゴ酸量と pH は高い相関関係があり、葉の抽出液の pH は喑期の終わりには約 4 、明期の終わりには約 6 と大きく変化します。葉の pH を朝と夕方に測定すると、その期間に消費されたリンゴ酸量が評価できます。つまり、光環境が適切に管理されているかどうかを知ることができるのです。

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