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農業害虫になるダニ類, センチュウ類: 病害虫防除の基本的な考え方 (7)

病害虫防除の基本的な考え方, およびその方法を紹介するシリーズ「病害虫防除の基本的な考え方」. 前回は, 農業害虫になる昆虫ついて紹介しました.

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今回は, 農業害虫になるダニ類, センチュウ類を紹介します.

ダニの生態と形態

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[図 1 チャノヒメハダニ]

(出典: 中筋房夫 ・大林延夫 ・藤家梓『害虫防除』(朝倉書店) )

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[図 2 ナミハダニ]

(出典: 前掲書)

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[図3 ミカンハダニ]

(出典: 前掲書)

ダニ類は, 昆虫と同じ節足動物門に分類されます. いわゆる「虫」の分類は, 日進月歩ですので, 一概に言えないところはありますが, ダニ類はクモ綱ダニ目に属する無脊椎動物です.

体長は 1 mm 以下で, 肉眼で観察することはなかなか難しい. 体の部位は前体部 (頭胸部) と後体部 (腹部) の 2 つに分かれていて, 足は 4 対が基本です. 翅はありません.

ダニの幼虫と成虫はともに形態がよく似ています. 蛹の段階を得ないので, 生活環が昆虫の不完全変態のようです.

害虫としては, ダニ類は, 葉などから養分を吸って加害する吸汁性害虫に分類されます.

害虫になるダニ類のおもな種類

では, 植物の害虫になる代表的なダニ類を紹介しましょう.

ハダニ類

体長は約 0.5 mm . 卵から 10 日ほどで成虫になり 繁殖するスピードが速い. そのため, 短期間で被害が拡大することがあります. また, ダニ類はクモの仲間ですので, 多発するとクモの巣のような糸を出し, 網を張ることがあります.

主に葉の裏に寄生して養分を吸うため, 被害を受けた部分が白い斑点状へ変色します. 被害が進行すると, 葉前体が応援し, 草花や野菜では落葉することがあります.

植物を加害する代表的なハダニとしては, 野菜や草花に多く発生するカンザワハダニやナミハダニ, カンキツ類やナシなどに発生するミカンハダニなどが挙げられます.

 

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[図4 ハダニ類の発生生態]
ホコリダニ類

体長は 0.25 mm 程度で, ハダニよりもさらに小さい. 体形は卵形をしています. 小さすぎて肉眼では確認しづらく, 被害が拡大するまで存在に気付かないことすらあります. 高温多湿を好むので, 被害は夏季に多発します.

被害を受けた部位は, 萎縮したり変形したりします.

シクラメンなどに害を与えるシクラメンホコリダニとチャノホコリダニが問題になっています.

サビダニ類

体長は 0.2 mm 程度. 通常, ダニ類の足は 4 対ありますが, サビダニ類は 2 対しかないのが特徴です.

植物の種類によって寄生するサビダニの種類が異なります. したがって, 害はそれぞれ固有の症状が現れます. 一般的には, 葉や果実の皮がさびついたように褐色に変色し, 硬くなって成長が止まるのが特徴です.

代表的な種類は, 以下の通りです.

  • おもに野菜に寄生するチューリップサビダニと, トマトサビダニ
  • カンキツ類の果実に寄生する, ミカンサビダニ
  • キクに寄生するキクモンサビダニ

その他, ブドウサビダニ, イチジクモンサビダニなど, 植物によってさまざまなサビダニが存在します.

サビダニは肉眼では確認できません. ですので, サビダニによる被害なのかどうかは, 植物の種類と固有の症状を観察し, 推察する必要があります.

センチュウ類とその害

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[図5 ミナミネグサレセンチュウ (A: 雄, B: 雌)] 

(出典: 前掲書)

センチュウ防除の基本は予防

センチュウは, 線形動物門に分類される無脊椎動物です. 体長は 1 mm 程度. 体型は糸状で, 移動にはヘビのように体をくねらせます. 害虫になるセンチュウの多くは無色透明ですので, 発見するのは非常に困難です.

主に土壌に生息していて, 植物の根から養分を吸い取って被害を与えます. また, 植物の根の組織内へ侵入もします. 植物の地上部には被害はなかなか現れません. したがって, 作物の場合, 収穫時に初めてセンチュウ被害の事実に気付くことが多い.

病原菌感染が原因による病気の症状である「しおれ」「立枯れ」に似た症状が見られるのが特徴です.

一度, 畑へ有害なセンチュウが発生すると, 農薬によっても完全に退治することは困難です. また, センチュウに汚染された苗や種イモを介して汚染が広がることも多く, 非常に厄介な害虫です.

センチュウ防除の基本は, 駆除するよりも予防, つまり, 発生させないことが重要だと言えます.

センチュウの発生を防ぐには

連作, つまり, 同じ場所で同じ作物を栽培し続けると, その作物にセンチュウの数が増え続けてしまいます. そのため, 栽培する作物の種類を周期的に変える, つまり, 輪作という対策をとる必要があります.

輪作の際,「対抗植物」といわれる植物を間作すると, 効果的であると言われています. たとえばマリーゴールドやエンバクは, センチュウの密度を下げる効果があることが判明しています.

害虫になるセンチュウのおもな種類

ネコブセンチュウ

植物の根に寄生して根にコブをつくり, 根の機能を損なわせてしまいます. 発生する作物はキュウリ, トマト, ニンジン, サツマイモなど. 代表的な種類はサツマイモネコブセンチュウで, 多くの野菜や草花を加害します.

ネグサレセンチュウ

土壌中に生息し, 根の組織内と土壌中を移動します. そのため, 寄生すると根が腐っていきます.

主に被害を受ける作物は, ゴボウ, ニンジン, ダイコンなどの根菜類の根ですが, ほかの野菜にも寄生します.

シストセンチュウ

根に寄生し, コブをつくります.

ナス科植物に発生するジャガイモシストセンチュウと, マメ科に発生するダイズシストセンチュウがあります.

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今回は, 農業害虫になるハダニ類, センチュウ類について紹介しました. 次回で「病害虫防除の基本的な考え方」は最後です. 最後は「防除方法の基本」について説明します.

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