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花卉園芸と, 球根および花木の休眠

植物における休眠 (dormancy) とは, 生育をほとんど停止している状態のことを言います. たとえば, 形成直後の種子や球根は, 発芽に好適な環境におかれても発芽せずに休眠状態にあります.

種子や球根だけではありません. 花木には春に萌芽し, 新梢の伸長が停止した夏から秋にかけて冬芽とよばれる休眠芽をつくるものがありますが, これも休眠です.

ここでは, 球根および花木の休眠について紹介します. 

 

【目次】

 

1. 球根の休眠

1.1 球根の形成と休眠誘導

球根植物では, 球根の形成が休眠とみなされます. 休眠に入ると, 葉の分化は止まり, 他の器官も形成されません.

ただ, 例外としてグラジオラス属では休眠器官中に新球の肥大が進みます. また, チューリップ属, スイセン属, クロッカス属, ヒアシンスでは花芽がつくられます.

休眠誘導の要因は球根形成開始前の環境条件です. ですので, 球根の植え付け時期によって休眠時期の差異がしばしばみられます. 

1.2 球根類の休眠特性

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1.3 球根の休眠打破

均一な萌芽や促成栽培をするためには, 休眠の打破が必要です.

テッポウユリの栽培では, 球根収穫時期が 6 〜 7 月と早いので, 切り花の促成栽培では, 休眠打破とための高温処理を行います (45 ℃, 1 時間).

一方, 夏の休眠中に花芽をつくるチューリップ属, スイセン属, クロッカス属, ヒアシンスなどの秋植え球根は, 低温処理で開花を促進しています. ただ, これは休眠打破というわけではなく, 低温による花芽の発達促進です.

1.4 球根類の休眠・休眠誘導と休眠打破

1.4.1 春植え球根

春に植え付けられ, 初夏から晩夏に開花し, 秋から冬に休眠します. 秋の短日で球形成が誘導されます.

冬の低温を経過することで, 休眠覚醒します. 休眠打破には一定期間の低温処理をします.

アキメネス属, ベゴニア, ベッゼラ・エレガンス, カラジウム, カンナ, クルクマ属, ダリア属, ユーチャリス, ユーコミス属, グラジオラス属, グロリオサ, アマリリス属, ヒメノカリス, リアトリス属, オキザリス属, サギソウ, チューベローズ, アッツザクラ, サンダーソニア, チグリジア, カラー属などが, このグループです.

1.4.2 夏植え球根

7 〜 9 月に植え付けられ, 秋から初秋に開花します. 葉の生育は開花後にさかんになり, 春から初夏に球形成が始まります. 夏には地上部が枯れて休眠します. 冬の低温によって休眠が誘導されます.

夏の高温を受けて休眠覚醒します. 休眠打破には一定期間の高温処理をします.

コルチカム, サフラン, ヒガンバナ属, ステルベルギア属などがこのグループです.

1.4.3 秋植え球根 (ユリ属を除く)

秋に植え付けられ, 秋から冬に出葉し, 冬から春に開花します. 春から初夏に球形成が始まり, 夏に休眠します. 冬の低温によって休眠が誘導されます.

休眠打破は一定期間の高温処理です.

花卉園芸では, ネギ属, アルストロメリア属, アネモネ属, バビアナ, カマシア属, クロッカス属, エルムルス属, カタクリ, フリチラリア, スノードロップ, ヘメロカリス属, ヒアシンス, ダッチアイリス, イキシア属, リューココリーネ属, ムスカリ属, オーニソガラム属, ラナンキュラス, スキラ属, トリトニア属, ワトソニア属などがこのグループです.

1.4.4 秋植え球根 (テッポウユリ)

秋に植え付けられ, 秋から冬に出葉し, 春に開花します. 晩春から初夏に球形成が始まり, 初夏から夏に休眠します. 休眠を誘導するのは, 冬の低温です.

休眠打破は一定期間の高温処理です.

1.4.5 秋植え球根 (テッポウユリ以外のユリ属)

秋に植え付けられ, 春に出葉し, 春から夏に開花します. 初夏から秋に球形成が始まり, 秋から冬に休眠します. 休眠を誘導するのは, 夏の高温です. 

休眠打破は一定起案の低温処理です.

1.5 休眠しない球根

マリリス, アガパンサス属, トリトマ属などの球根には休眠がありません. 温度条件がよければ生育を始めます.

2. 花木の休眠

2.1 休眠する花木

花木は開花後. 翌年に咲く花芽をつくり, その後の短日条件で休眠が誘導されて, 初冬の急激な低温が来る前に休眠に入ります.

早春から初夏に開花する花木は, 初夏から夏の高温期に翌年の花芽をつくります. たとえばヤブツバキ, ハナズオウ, ハナミズキ, ジンチョウゲ, ドウダンツツジ, レンギョウ, ツツジ属, ウメ, モモ, ソメイヨシノなどです.

初夏から夏に開花する花木は, 初秋に翌年の花芽を作ります. たとえばエニシダ , アジサイ, バイカウツギ, コデマリ, ユキヤナギなどです.

花木の休眠芽には, 葉や茎になる葉芽, 花のみになる純正花芽, 花と葉や茎の両方が含まれている混合花芽があります. 

2.2 花木の自発休眠の 3 つの時期

花木の自発休眠には 3 つの時期があり, 前休眠 → 真休眠 → 後休眠です. 程度としては, 前休眠と後休眠が浅く, 真休眠は深い休眠です.

前休眠は, 自発休眠期である真休眠期への導入期です. この時期に除葉, 早ばつや風害による落葉で, 休眠が破れることがあります.

真休眠は生理的な休眠で, 低温処理などで休眠期間を短くすることはできますが, 休眠を打破することはできません.

真休眠の覚醒期が後休眠です. 休眠の深さに応じて, 低温処理や温湯処理, あるいはシアナミド剤などの化学処理との併用で休眠が打破され, 開花の促進が可能になります. ケイオウザクラ, レンギョウ, ボケなどで利用されています.

2.3 休眠しない花木

春から夏に花芽分化し, 年内に開花する花木は休眠しません.

アベリア, サザンカ, ムクゲ, キンモクセイ, ハウチョウゲなどがあります.

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