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分離育種法 (育種学を学ぶためのノート (5))

本記事は, 植物育種学を学ぶために作成したノートを, ブログ用に編集したものです.

前回はコチラ.

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分離育種法の分類

  • 分離育種法における選抜と固定の方法は作物の繁殖様式によって異なる
  • 自殖性作物および自殖することのできる他殖性作物・・・純系淘汰法
  • 自殖が困難な他殖性作物・・・集団選抜法
  • 栄養繁殖作物・・・栄養系分離法

純系淘汰法

純系とは

  • 対立遺伝子 (A-a) が優性 (AA) あるいは劣性 (aa) で固定 true breeding, pure breeding している同型接合体 homozygote からなる系統を純系 pure line という
ヨハンセンの純系説
  • 純系の重要な性質は, 個体間に遺伝的な変異がないので, 系統内の選抜は無効という点にある
  • ヨハンセンは, 自殖性作物であるインゲンマメの市販の品種から 19 の自殖後代を育成し, 粒重の系統間差異は後代に遺伝するが, 系統内の差異は遺伝しないことを見出した
  • ヨハンセンの発見は, 最初の市販の種子は遺伝的に異質な集団で, そこでは選抜は有効であるが, 純系内には遺伝変異がないので, もはや選抜は無効であることを示した

自殖性作物の純系淘汰法

自殖性作物における純系淘汰の適用
  • 原種を増殖する場合のように, 純系であるべき材料から突然変異や, 種子および花粉の混入によって生じる異型を除く場合
  • 遺伝的多様性を含んでいると期待される在来品種や, 自然集団のなかから優良な新品種を選抜する場合
供試する個体数
  • 供試する個体数は多いほどよいが, 一般に 1,000 〜 5,000 個体を栽培・調査し, 優良な個体を 50 〜 200 個体選抜する
  • 初年目の個体選抜は, 環境変異による見かけの優良個体を多く含んでいるとみられるが, 表現型を対象としているから, それを後代検定するために, 翌年 1 系統 20 〜 50 個体を 1 本植えで系統栽培する

他殖性作物の純系淘汰法

  • 耐病性や品質などに関する特定の遺伝子をもった系統を維持するために, 他殖性作物の育種においても純系を育成することが必要な場合がある
自殖弱勢を示さない場合
  • ウリ類などの自殖弱勢を示さない他殖性作物では, 自殖性作物と同様に純系淘汰が適用できる
  • この場合は, 最初の材料のへテロ性が高いので, 人為的に自殖を数世代繰り返して同系接合型を高める
雑種強勢を利用する
  • トウモロコシなど, 雑種強勢を利用する他殖性作物では, 人為的な自殖を繰り返すことによって近交系 inbred line を育成し, 組み合わせ能力 combining ability の高い系統を交雑して雑種強勢を最大限に活用する
自殖弱勢への対策
  • このような作物では, 自殖にともなって有害な劣性遺伝子が固定することで, 自殖弱勢が起こる
  • 自殖系統を大量に育成して劣悪な系統を除き, 有害な遺伝子を淘汰することにより, 自殖系統のレベルを高めることができる

集団選抜法

  • 自家不和合性, 雄性不稔性, 雌雄性, 強度の自殖弱勢などによって自殖が不可能だったり, 人為的な自殖が技術的に難しい場合は, 異型や劣悪個体を除いて, 実用的に支障がない程度に集団の均質性を保ちながらヘテロ性を維持する集団選抜法が適用される

初年目

  • 初年目には 1 本植えした材料のなかから優良個体を選抜する
  • 集団サイズや栽培・調査の方法は, 純系淘汰法に準ずる

選抜する個体数

  • 量的形質の遺伝率は低い
  • 個体選抜の強度をあまり高めても選抜効果は上がらない
  • 選抜個体数をあまり少なくすると近交弱勢が起こる
  • 選抜する個体数はある程度多くなければならない

品質にかかわる形質の選抜

  • 熟期, 草丈, 種子や果実の色, 形, 大きさ, 花や葉の形や色などの, 栽培や生産物の品質にかかわる形質は, 実用的に支障がない程度に揃っていなければならない
  • これらの形質に関しては確実に選抜を加えなければならない

抵抗性に関わる選抜

  • 耐病性・耐虫性などはレースやバイオタイプの変化によって抵抗性が崩壊する場合がある
  • 多型が望ましい

選抜効率

  • 種子作物などのように, 開花前に優良個体を選抜することができない場合には, 自然交雑した種子を採取することになる. 父親に関しては無選抜で, 母親しか選抜することができない
  • 野菜などのように栄養体を利用する作物では, 劣悪個体を開花前に淘汰して優良個体同士の交雑によって後代を養成できる (選抜の効率が高い)

栄養系分離法

  • ジャガイモ, サツマイモ, 各種の球根類, 材木・果樹など, 栄養体によって無性的に繁殖することのできる作物では, 異型接合体のまま増殖することができるので, 種子繁殖する作物とは違って遺伝的に固定する必要がない
  • 1 個体でも遺伝的に優れた個体を見出すことができれば, それを選抜して無性的に増殖すればよい

永年作物の栄養系分離法

  • 材林や果樹などの永年性作物の場合は, できるだけ多数の特徴ある個体から穂木を採って接木や挿木によって苗をつくって特性を比較し, 優良個体を増殖する

参考文献

 

 

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