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メンデルの遺伝の法則

メンデル (Gregor Johann Mendel, 1822-1884) は、遺伝に関して次の 3 つの法則を確立しました。

[目次]

メンデルの遺伝の法則

1. 優性の法則

対立形質をもつ 2 つの株の交配から得られる雑種第一世代 (F1 = 1st filial) は、どちらか一方の形質が現れ、もう一方は隠れてしまい、決して現れることはない

2. 独立の法則 (メンデルの第一法則)

1 組の対立遺伝子は減数分裂 (配偶子形成) の際に分離して、別々の配偶子へ分配される

3. 独立の法則 (メンデルの第二法則)

2組の対立遺伝子は互いに独立して分離し,配偶子が形成される

メンデルは 1857 年からエンドウの栽培を始め、8 年間にわたってエンドウの交雑実験を続けて、この 3 法則を導き出しました。

ではなぜエンドウを選んだのでしょうか。エンドウは、多くの変種があり、花の雄蕊と雌蕊が大きな花びらの中に納められていて、厳密な人工交配を行うのに形態的に適していたからです。メンデルは 34 品種のエンドウを用意し、それらの見た目の形質に着目して、親から子へどのように伝わるのか、観察し続けました。メンデルが選んだ特徴は次の 7 つでした。

  1. 豆の形 (丸・しわ)
  2. 子葉の色
  3. 種皮の色(灰色・白色)
  4. 若いさやの色 (緑・黄)
  5. 熟したさやの形 (ふくれ・くびれ)
  6. 茎の長さ(短・長)
  7. 花の位置 (茎に沿う = 腋生・茎の先端 = 項生

同じ形質について互いにことなる性質を示すとき、たとえば、丸としわを対立形質とよびます。

では、「優性の法則」「独立の法則」「分離の法則」それぞれについてくわいしくみていきましょう。

優性の法則

メンデルの実験では、7 つの形質のうち 1 つの形質に対立形質がみられ、それ以外はまったく同じ形質をもち、しかもそれぞれの形質について純系 (自殖させると何代も同じ形質が現れる系統) である品種が選ばれ、対立形質を持つ個体どうしをかけ合わせ (交雑) ました。その結果、F1 で現れたのは必す親のどちらか一方の形質のみでした。たとえば、丸い豆の花のめしべにしわの豆の花の花粉 (あるいはその逆) を受粉させると、その種子 (F1) はすべて丸い豆で、一方の親の形質 (しわ) はまったく現れませんでした。

さやの形や茎の長さなどは、F1 種子をまいて個体に育ててから調べられました。

メンデルはこの現象を次のように説明しました。

親から子へ伝わる遺伝形質は、ある要素 (これを現在では「遺伝子」と呼んでいます) によって支配されていて、
それは生殖細胞 (花粉や胚珠内の配偶子) 内に存在し、子は父親と母親の要素を 1つずつもらって形質が決められてます。そして両親からもらった 1 組の要素のどちらかが、優先的にその個体の特徴として F1 で現れてきます。このような現象が後に優性の法則と名づけられたのでした。1 組の対立形質について、優先的に現れる形質が優性とよばれるのに対し、現れなかった方の形質は劣性と呼ばれます。

優性の法則を記号に置き換えて考えてみましょう。 F1 で常に現れた豆の丸い形質の要素を優性として A、F1 で常に隠れてしまったしわの豆の要素は劣性として a とします。豆の形が丸いエンドウは両親から要素 A を1つずつもらっているので AA , しわの豆をつけるエンドウでは aa と表され、これらが純系の親になります。減数分裂によってつくられた親の生殖細胞 (配偶子) は、AA では A (♀) と A (♂)、aa では a (♀) と a (♂)になるので、人工的に交配した子孫 F1 では雌蕊の A と花粉の a の組合せによってすべて Aa になりますが、A の要素 (丸い形質) が現れて a の要素 (しわの形質) が隠れることで全部丸い豆となったのです。この A や a の要素は、後に遺伝子と呼ばれるようになります。優性の遺伝子 A と劣性の遺伝子 a は対をなしているので、対立遺伝子と言います。AAaaAa などの遺伝子組合せは遺伝子型とよばれ、それぞれが示す形質 (丸やしわなど) は表現型と呼ばれます。そして、AAaa のような同じ遺伝子の組合せをホモ接合、Aa のように異なる遺伝子の組み合わせをへテロ接合と言います。へテロ接合の遺伝子型 (Aa) の表現型については、種子が丸くなる優性遺伝子 A がしわになる劣性遺伝子 a のはたらきを隠すため丸い豆になったのです。遺伝子型はホモ (AA)とへテロ (Aa) と違っていても、表現型では、どちらも丸い豆になります。

分離の法則

メンデルは、さらに雑種第1代 (F1) の花に自家受粉をさせ、7 つの対立形質についてそれぞれの雑種第 2 代 (F2) を得ました。その結果、豆の形については、F2 では丸としわが 3 : 1 の割合で現れました。さらに、F2 の自家受粉を行った雑種第 3 代 (F3) では、F1 の丸い豆から育てたエンドウのうち、その1/3 が丸い豆だけを実らせ、残り 2/3 のエンドウからは丸い豆としわの豆が 3 : 1 の割合で混ざって収穫できました。一方、F1 で得た、しわの豆から育てたエンドウが実らせたのは、すべてしわの豆ででした。なぜこのような現象が起こるのでしょうか。これを知るには、生殖細胞 (配偶子) がどのように形成されるかがポイントになります。

F1 の豆の形に関する表現型はすべて丸で、遺伝子型はすべてヘテロ (Aa) でした。この F1 植物が自家受粉する前に、一つ花の中の雌蕊と雄蕊では、それぞれ単相の (遺伝子を A または a の1 つだけもの) 生殖細胞減数分裂
よってつくられます。体細胞中で対をなしていた Aa という遺伝子は、雌蕊の中では数個 (一つの花からできる、1 個のさやのなかには数個の豆が実るため) の胚のう母細胞 (遺伝子型: Aa) からそれぞれ減数分裂によって、遺伝子 A をもつ胚のう細胞と遺伝子 a をもつ胚のう細胞が同じ確率で 1/2 ずつつくられます。一方、雄蕊では、葯内の無数の花粉母細胞 (Aa) から減数分裂によって、A の遺伝子をもつ花粉と a の遺伝子をもつ花粉が、これも同じ確率でつくられることにります。このとき、F1 のもつ対立遺伝子 ( Aa) は、互いに混ざりあって中間の性質をもつ別の遺伝子に変化するいったことはなく、F1 植物がつくる胚のうや花粉といった配偶子には、対立遺伝子のどちらか一方が振り分けられます。このように配偶子形成の際に、対立遺伝子がそれぞれの配偶子細胞へ分離することを、分離の法則 (メンデルの第一法則) といいます。

分離の結果、A または a の遺伝子をもつ胚のう細胞 (母親: ♀) と、花粉 (父親: ♂) との受精から生じる F2 の遺伝子の組合せは、A (♀) と A (♂)、A (♀) と a (♂)、a (♀) と a (♂)、a (♀) と A (♂) が考えられ、これら 4 種類は同じ割合で生じます。これを遺伝子型で考えると、AA : Aa : aa = 1 : 2 : 1 になります。なので、表現型としては、丸 (優性形質、AAAaaA) : しわ (劣性形質、aa) = 3 : 1になるのです。子葉の色など、ほかの 6 つの対立形質についても F2 では優性形質と劣性形質が 3 : 1 の割合でみられました。F3 の表現型の割合も、分離の法則と優性の法則から説明がつきます。

独立の法則

メンデルは最後に,、2 組の異なる対立形質をもつ個体どうしの交雑実験を行いました。2 組の対立形質とは、たとえば豆の形と茎の長さです。メンデルはこの 2 つの形質が、雑種形成後にどのような関係になるのかを調べました。2 つの形質が優性である純系のエンドウ (丸い豆と長い茎) と、劣性である純系のエンドウ (しわの豆と短い茎) とを交雑したところ、その F1 では、すべてのエンドウが丸い豆と長い茎をもつものになりました。この F1 を自家受粉させた F2 の丸い豆をまいて育てると、2 組の対立形質の組合せが親 (F1) と同じもののほか、異なったものも現れました。丸い豆と短い茎、しわの豆と長い茎、しわの豆と短い茎のエンドウです。500 個体ほどの F2 のエンドウからそれぞれが出現した割合は、丸・長 : 丸・短 : しわ・長 : しわ・短 = 9 : 3 : 3 : 1 でした。このとき、対立形質 1 組ごとに着目すると、丸としわの割合は 12 : 4 、すなわち 3 : 1 だということが分かります。長茎と短茎の割合も同様に 3 : 1 になっています。

豆の形のように、1 組だけ対立形質をもつ個体どうしの交雑から得られた雑種を一遺伝子雑種 (単性雑種) 呼び、豆の形と茎の長さのように対立形質が 2 種類になると、その雑種を二遺伝子雑種 (両性雑種)と呼びます。

メンデルの行った、この二遺伝子雑種の実験を記号に置き換えて考えてましょう。豆の形に関する対立遺伝子を Aa 、茎の長さに関する対立遺伝子を Bb で表すことにします。純系の親同士の交雑 (AABB × aabb) から生まれた F1 の遺伝子型は、AaBb になりますね。親のつくった配偶子の遺伝子型は、一方が AB でもう一方は ab でした。それでは F1うしの自家受粉ではどのような遺伝子型が生じるのかというと、メンデルは実験結果から、2 組の対立形質は互いに影響しあうことなく独立に遺伝していると予想したのです。そうすると F1 では AB に対して ab が対立形質として存在するので、その配偶子は、ABAbaBab の4種類の組合せが、同じ割合で生じると考えられます。F1 の自家受粉は、4 種類の配偶子を同じ割合でもっている親どうしの交配になるので、各配偶子はランダムに受精します。受精の結果生じる組合せのすべては、次の表の通りです。

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二遺伝子雑種におけるF2の分類

ab の遺伝子は、AB を対立遺伝子にもつと、優性の法則によりその形質が隠されてしまいます。上の表では、AABBAABbAaBBAaBb の遺伝子型をもつ個体はすべて、丸・長という表現型になって、表現型に関与する遺伝子のみで表せば、AB になります。同様に、AAbbAabb は丸・短で Ab と表され、aaBB および aaBb はしわ・長で aB で表されます。aabb はしわ・短になるので、ab で表されますね。遺伝子の組合せは 8 種類 16 通りで、それぞれ 1/16 の確率で生じます。そして AB の表現型は 9/16 の確率で、Ab は 3/16、aB も 3/16、そして ab 1/16 という確率でみられることになります。なので、割合 (比) で考えれば,、メンデルの実験のとおり、丸・長 : 丸・短 : しわ ・長 : しわ ・短 = 9 : 3 : 3 : 1 になるのです。また、各対立形質の分離比は、それぞれ 3 : 1となっていますが、このことは、分離の法則が形質ごとに成り立っていることを示しています。

メンデルは、これらの結果に基づき、F1 植物では 4 種類の配偶子 (ABAbaBab) が同じ頻度でつくられている結論づけました。この考えを確かめるために考案されたのが、検定交雑 (戻し交雑) で、F1 (遺伝子型 : AaBb) に劣性ホモ aabb の個体をかけ合わせるというものです。F1 の配偶子は ABAbaBab の4種類で、劣性ホモ個体の配偶子は ab だけです。つまり、両者の F2 の表現型をみれば、F1 配偶子がどのような割合でつくられたかが分かるのです. 結果、予想どおり、丸・長 AaBb、丸・短 Aabb、しわ・長 aaBb、しわ・ 短 aabb の比率が、1 : 1 : 1 : 1 になりました。

以上のように、二遺伝子雑種では、2 組の対立形質について親の遺伝子の組合せだけが子孫に伝わるのではなく、別の形質を支配する遺伝子 (A または aB または b) は、互いに独立した行動を示し、同じ頻度で配偶子をつくります。これが、独立の法則 (メンデルの第二法則) です。この法則は、2 つの形質を支配する遺伝子が別々の染色体上にのっている場合にあてはまります。

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