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ジベレリンと花卉園芸

植物ホルモンの 1 つであるジベレリン (gibberelin, GA) の生理作用は多岐にわたり、細胞伸長の促進、茎と根の伸長成長の促進、細胞分裂の促進、芽や種子の休眠打破、光発芽種子の発芽促進、穀物種子の加水分解酵素の活性化、長日植物の短日条件による開花促進、果実の単為結果誘導、花の性分化への効果などです。

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花卉分野においては、細胞伸長による茎の伸長促進、休眠打破、開花促進などが、生育調節にとって重要です。

[目次]

 

ジベレリン

活性型 GA にはいくつかの種類があります。市販されている GA 剤は GA2 が主成分です。薬剤や水溶剤として市販されていて、開花促進、花丈や茎の伸長促進、生育促進、発芽促進、茎の肥大促進、休眠打破、花芽分化の抑制などの効果があります。

GA の効果の1つである伸長促進は、多くの植物で共通しています。しかし、開花は植物によって反応が違います。例えば花木には抑制効果を示すことがあります。使用の際には、記載の適用対象と目的を確認するようにします。

ジベレリン生合成阻害剤

GA 生合成阻害剤には8種類あります。

メビコートクロリド剤は、GA 生合成経路のゲラニルゲラニル二リン酸から ent- カウレンまでは、ウニコナゾール P 剤とパクロブトラゾール剤は ent- カウレンから ent- カウレン酸までを阻害します。

フロヘキサジオンカルシウム塩剤 (PCa)は、GA 酸化酵素の GA20ox と GA3ox, GA2ox (GA20ox などについては、ジベレリンの生合成を参考にしてください) の活性を低下させて、GA の生合成を抑えます。しかし、低濃度の場合は、活性型 GA の生合成に関わる GA20oxと、GA3ox よりも、不活性型 GA を生合成する GA2ox の活性を強く抑えるので、活性型 GA 量が増加します。この現象を利用して、ストックの開花促進に利用されたりしています。

このような例外を除いて、GA 生合成阻害剤は内生 GA 量を減らすため、ほとんどの花卉では茎葉の伸長抑制による小型化、節間の伸長抑制、花首伸長抑制などを目的に用いられます。一方、ツツジ類などでは着蕾数増加のために用いられます。

ジベレリンの生合成

では, GA の生合成について説明しましょう.

4つの生合成経路

現在、植物自身が生合成する内生 GA として136種類が同定されています。そのうち植物に直接作用する活性型 GA には、GA1、GA3、GA4、GA7 などがあります。植物によって活性型 GA の種類は異なります。

生合成経路の前段階は共通

この 4 つの経路の前段階には、共通の生合成経路があります。イソペンテニル二リン酸 (IDP, IPP) からゲラニルゲラニル二リン酸 (GGDP, GGPP) 、ent- カウレンを経て ent- カウレン酸が作られ、その後、非水酸化経路では、出発物質である GA12 が生合成されます。同様に、早期11位水酸化経路、早期13位水酸化経路、早期11,13位水酸化経路では、それぞれGA12 の11位、13位、11位と13位に水酸基が付加した、GA133、GA53、GA135 が出発物質として生合成されます。

非水酸化経路の例

GA 生合成の仕組みを理解するために、ここでは非水酸化経路例に挙げて説明してみましょう。

まず、出発物質の GA12 が、GA20 位酸化酵素 (GA20ox. 20位の炭素を酸化する酵素) の働きによって、順次、GA15、GA24、GA9と生合成されます。続いて、GA3 位酸化酵素 (GA3ox. 3位の炭素を酸化する酵素) によって GA9 の 3 位が酸化され、活性型の GA 4になります。さらに GA2 位酸化酵素 (GA2ox. 2 位の炭素を酸化する酵素) によって GA4 の 2 位が酸化され、不活性型の GA 34になります。

生合成経路によって出発物質は異なりますが、その後の整合性は同じ種類の酵素によって進み、早期 11 位水酸化経路と、早期 13 位水酸化経路の活性化型 GA は、GA35 GA1 です。なお、ent- カウレンまではプラスチド、ent- カウレンから GA12 までは小胞体膜、それ以降は細胞質基質で生合成が行われます。これらの酵素をコードする遺伝子の発現量は、発育段階や光、温度等の変化によって変わり、それによって酵素が活性化したり、不活性化して GA の生合成量が調節されています。また、さきほど説明した GA 生合成阻害剤は、これらの酵素の活性を阻害するもので、人為的に GA の整合性量を減らすこともできます。

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