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花芽分化の仕組みと花卉園芸

花卉園芸では、花という植物にとっての生殖器官を鑑賞の対象にすることが多くあります。そのため、植物がどのようにして・いつ花芽をつくるかを決めていいるのかを知り、花芽分化・発達の時期を調節して開花期を調整し、目的の時期に花を生産することが重要になります。

【目次】

 

花芽分化

花芽分化とは、茎頂の成長点が変化し、形態的に認識できる花芽ができることです。
花芽分化開始後、開花・結実して種子をつくる時期を生殖成長期といいます。生殖成長期の前段階の、主枝が発芽し、茎頂の成長点で茎葉の分化をつづける時期を栄養成長期といいます。

花成

花成 (floral transition とは、花芽形成の略語で、花芽をつくり始めることです。
葉原基や茎組織を形成していた茎頂分裂組織が、花芽原基あるいは花序原基の形成へと変化する過程を花成誘起 (floral evocation) といいます。

花成は、光周性花成では、植物は葉で光信号を受け、その情報によって花成を引き起こすフロリゲン (florigen) を作る過程と、葉から茎頂部に輸送されたフロリゲンに反応して茎頂分裂組織で花芽をつくり始める過程に分けて考えることができます。

花芽分化・発達を制御する要因

花芽分化を制御する内的・外的要因は多岐にわたりますが、おおよそ以下の 3 つに大別できます。つまり、

1. ある程度の大きさに成長すると花芽分化するもの

  • バラ、ガーベラ

2. 日の長さが短くなる (短日) あるいは長くなる (長日) と花芽分化するもの

3. 一定期間、低温や高温にあうことで花芽分化するもの

です。

なお、温度と日長の相互作用を受けるものや、花芽分化と分化後の発達で好適な条件が異なるものもあります。

花成の制御経路

花成の制御には、多くの遺伝子が関与していると考えられています。

モデル植物の 1 つ、シロイヌナズナの花成の制御経路についてみてみましょう。

シロイヌナズナは低温要求性長日植物ですが、光周期依存促進経路、春花依存促進経路、自律的促進経路、ジベレリン依存促進経路の 4 つが、部分的に機能が重複しながら、遺伝的に独立した制御経路として提唱されています。この 4 つの経路からのシグナルが統合され、最終的に花成が起こります。

フロリゲンとは?

フロリゲンは、葉で合成され、篩管を通って茎頂へ輸送され、茎頂で花成を引き起こするホルモン様物質です。フロリゲンは FLOWERING LOCUS T (FT) と名付けられた遺伝子によってつくられるタンパク質です。

フロリゲンは、茎頂で発現する bZIP 転写因子をコードする FD 遺伝子の産物 (FD タンパク質) と茎頂で相互作用し、花芽分裂組織遺伝子である FRUITFULL (FUL) 遺伝子や、CAURIFLOWER (CAL) 遺伝子、APETALA1 (AP1) 遺伝子の発現を誘導し、花芽をつくり始めます。

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